[08]妄想

KUUKUU、ニチニチといっしょに仕事をしているアライクンも
やっぱり自分で始めようとしている。
彼はずーっと物件を探し続けている。なのになかなか見つからない。
飲食店はやっぱり場所である。
大通りに面してて、とかではない意味の場所。
自分のイメージの場所がある。

なみにアライクンは海が見える場所なのだ。
白くて四角い一軒家。
夕方、休憩時間には彼はおもてにイスを出し、潮の匂いを感じながら、
そこでボール一杯のじゃがいもだの、にんにくだのをむく。
そうすると近所のおばさんが散歩の途中で一声かけるのだ。
ーなの最近は。
いそがしいの?
あんたカラダに気をつけなさいよ。
そろそろお嫁さんでもみつけなきゃね。
おばさんいいコ知ってるわよ。
紹介してあげよっか・・・。
メージと言うか妄想だ。
そんな所そうそうあるもんではない。

も僕には笑えない。
こういうことなのだ結局。
ビジネスとかマーケティングとか成り上がりとか自己実現とか、
そういう類いの言葉よりも妄想だ、
絶対。
 
しく店を始めるっていうのはなかなかエネルギーがいる(たぶん)。
こういう積もりつもった妄想だけが僕らを突き動かすのではなかろうか。
 
う一つ言えば、アライクンは長髪をたばねて、
ヒゲと眼鏡のマスターなんだそうだ。
坊主頭でヒゲなんかぜんぜんはえないアライクンがね。

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