200411.3-11.4
トイレの床はテラコッタのようなタイルを貼るつもりであった。
ホームセンターにいけば1枚100円ぐらいで売っている。
クゴウにそんな話をすると、作ればいいじゃん、という答え。
そうか、そういうのも作れるんだな。
うなずく僕たち。
そうやってタイル作りが始まる。
まずはトイレの大きさで床に線を引く。
その中に形作った粘土を敷き詰めていくわけだ。
粘土は焼くと縮むのでその分大きめに線を引く。
縮小率13.5%。(土によって違うらしい)
僕らは先生の指示の元、テキパキ動く。
初めてのことは楽しいもんだ。
どーする?四角くなくてもいいんだよ。好きなカタチにすれば?
先生が言う。
そうか、そういうこともできるんだな。
うなずく僕たち。
先生が練って、同じ厚さに切って、
僕たちがカタチを作っていく。好きなように。
それを並べて、敷き詰める。
好きなカタチにして、並べて、敷き詰める。
好きなカタチにして、並べて、敷き詰める。
なんなんだこれは。
いっこうに思ったように敷き詰まっていきゃしない。
自分の作ったパズルに首をしめられる。
あきらかに不自然なカタチがどんどんできる。
隙間を埋めるという意図が見え見えのヤツがいる。
これではいけない。
でもどうにもならない。
あーもういやだ。
オレはちっちゃいころからこういうのダメなんだよ。
両親そろってぶきっちょだし、
サラブレッドなんだよ。ぶきっちょの。
こういう脳みそないんだろうな、オレには。
右の脳だか左の脳だか知らねーけどよー。
細かい作業ができないの、どうやっても。
あーだれかと思いっきり相撲でも取りてーよ。
心の叫び。
あくまで心の中で叫ぶ。
工房に重い空気がたちこめはじめる。
妻は固まったまま動かない。
永遠の沈黙。
クゴウがお菓子の袋を開ける音だけ妙に響く。
午前2時。
満天の星空なんて見る気にもならない。 |