[11]ダイスってなに?

イレのドアに取り付けようと思って、
妻は真鍮のドアノブを買っておいてある。
古道具屋で3000円くらい。
古くてかっこいい。
だが実際ドアがつくとどうにもサイズ(厚さ)が合わないことが判明。
あと数ミリなんだけど、ドアノブが長い。
大工さんいわく、 ドアノブのノブの部分を片方はずして 軸の部分を切る。
それで、軸に新しいネジ山を作ると短くなるとのこと。
なんだ、できるんじゃん。やってくださいよ。
曇ったままの妻の顔が晴れる。
ただダイスがないんだよなー。
監督も、大工さんも口をそろえる。

「ダイス」
初めて聞いた。
ネジ山を切る道具らしい。
売ってるには売ってるけど、そのためだけに買うには高いものらしい。

してみせる。
妻が鼻息を荒くする。
ときどき見せる変な執着心、いや闘争心か。

ちこちに電話する。
美大の人とか、鉄っぽい工場に働いている人とか、
大工仕事好きのもつ焼屋主人とか。
でも誰も持ってない。
みんな知ってはいるけど持ってない。

ったいどんなものなのか、想像でアタマが膨らむ。

所に鉄工所があったはずだ。
二人で出かける。
金ならいくらでも出す。
なかばヤケくそ。
到着。
よく見ると、そこはプラスチック屋さんであった。

局断念。
でも、どうしてもドアノブは使いたい。
多少不格好でもいいから、
木かなんかをかませて仕上げることにする。

日後ダイスを発見。
思ってたのと全然違う。
もっとごついものかと思っていた。
でも結局合うサイズはなかった。

これが問題のドア。
ドア完成。
問題のドアノブ。
中はこうなっている。         
本当はこれ。

そして、問題のダイス。

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